ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?実施内容や効果、方法を解説
公開日: カテゴリー: SST
心身に何らかの障害があり就職したくてもできない方や、一度は就職したものの休職・離職する方が多くいます。
発達障害者や精神疾患者は、思うように周囲とのコミュニケーションが取れず、「職場や学校になじめない」「仕事ができない」と感じることも珍しくありません。
そうした方に向けて実施するのが「ソーシャルスキルトレーニング(SST)」です。
ソーシャルスキルトレーニングは、誰もが良好な人間関係を築き、周囲と調和しながら生きていくために欠かせない「ソーシャルスキル(社会生活のスキル)」を身に付けるための訓練です。
この記事では、ソーシャルスキルトレーニングの概要から、具体的な方法、実施する際の注意点までを解説します。
1.ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは
SSTとは、日常生活を送る上で欠かせない「ソーシャルスキル」全般を身に付けるために行うトレーニングです。
正式には、Social Skills Training(ソーシャルスキルトレーニング)と言います。日本では「社会生活技能訓練」「生活技能訓練」「社会的スキル訓練」とも呼ばれています。
人の考え方や受け取り方、さらに行動に働きかけることで、精神の負担を減らしていく認知行動療法の一つです。認知行動療法に基づくリハビリテーション技法が取り入れられています。
具体的には、
- ・あいさつをする
- ・人との会話の際に目を合わせたり、相づちを打ったりする
- ・会話中の相手の表情やしぐさから、相手が感じていることを察する
- ・自分の感情をコントロールする
などでスキル習得を、体系的・意図的にソーシャルスキルトレーニングでは目指します。
1-1.ソーシャルスキルトレーニング(SST)の対象となる人
ソーシャルスキルトレーニングの対象は、社会生活でコミュニケーションが困難な全ての方です。
ソーシャルスキルトレーニングはもともと、統合失調症など精神障害を持つ方が社会復帰するための社会生活技能訓練の1つでした。
しかし、近年では精神障害の有無を問わず、多くの方を対象に実施されています。
たとえば
- ・発達障害や統合失調症、自閉症などの精神障害がある
- ・情緒が不安定
- ・自分の行動をコントロールできない
- ・指示や会話の内容が理解できない
- ・学習障害がある
- ・得意なことと不得意なことの差が大きい
などに該当する方が対象です。
また、仕事を休職し、職場復帰を控えている方もソーシャルスキルトレーニングを受ける場合があります。
1-2.ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受ける場所・方法
ソーシャルスキルトレーニングは、病院・クリニックの精神科デイケア(通所型のリハビリテーションサービス)、福祉施設、就労移行支援施設などの場所で実施されています。
また、学校や企業内で実施されることもあります。ソーシャルスキルトレーニングを受講したい場合は、どこで受けられるかを探し、最寄りの開催地に問い合わせてみましょう。
もし開催地が分からない場合は、自治体の福祉課・障害福祉課、就労・生活支援センターに問い合わせると案内してもらえます
1.3ソーシャルスキルトレーニング(SST)を実施できる人の条件
ソーシャルスキルトレーニングの実施は、誰でもできるわけではありません。。トレーナーになれるのは、ソーシャルスキルトレーニングについて専門的に学んで、知識を習得した人だけです。
たとえば、医師や看護師、作業療法士・臨床心理士、精神保健福祉士のほか、指定の教育機関で訓練を受けた専門家が挙げられます。
1.4ソーシャルスキルトレーニング(SST)・3つの認知行動療法
ソーシャルスキルトレーニングは、療育や行動認知の専門家のもと行われますが、具体的には3つの方法があります。
①認知再構成法
対象者の認知の歪みを理論的に証明し、行動変容を計る方法です。認知の歪みとは、飛躍しすぎた判断やマイナスの固定観念のことです。
まずは対象者と会話をし、認知の歪みを洗い出します。その後、話題を掘り下げて本人に認知の歪みを自覚させ、歪みを直すための行動計画を立てます。
②エクスポージャー法(曝露療法)
恐怖や不安の対象にあえて触れ、慣れていくことで不安の解消を図る方法です。
たとえば高いところが苦手なら、まず2階から下を見るところから始め、徐々に階層を上げていくといったように進めます。
③ABC理論
物事の捉え方の変容を促し、問題解決を目指す認知療法です。
「~でなければならない」「~に違いない」といった考え方を、「~できるときもある」「~だったらうれしい」などの考え方に転換させていきます。
2.ソーシャルスキルトレーニング(SST)の目的
ソーシャルスキルトレーニング(SST)の目的は、生きづらさを解消するため、社会人として働くための2点が挙げられます。
発達障害者・心身障害者が自己管理能力や身辺処理能力を向上させ、実社会で生活できるようになるために、ソーシャルスキルトレーニングは必要不可欠です。
2-1.生きづらさの解消のため
現代では、人々のライフスタイルの変化により他人と接する機会や、対面でコミュニケーションをする機会が少なくなっています。
そのため、ソーシャルスキルを身に付ける場が減り、さまざまな場面での具体的な行動の方法や言葉選びなどを体得しづらくなっているのが現状です。
そして、職場や学校での人間関係の悪化、いじめや不登校・引きこもりなど、さまざまな問題も深刻化しています。
特に、自分の気持ちが上手く表現できない発達障害者・心身障害者にとって、こうした問題は今後の人生や生き方に大きな影響を与えます。
しかし、ソーシャルスキルトレーニングによって、嫌なことは嫌だと言えるようになり、話し合いで解決できるようになれれば、不要なストレスを受けずに済むでしょう。
ソーシャルスキルが生きづらさを解消するために効果が期待できます。
対人関係の悩みを解決するためのソーシャルスキルトレーニングは「良好な友達関係を築くSSTの実施例|効果を高めるひと工夫も紹介」をご覧ください。
2-2.社会人として働くため
また、2011年に行われた調査では、障害者雇用を行っている企業の約68%が、「選考の際にコミュニケーション能力を重視している」と回答しています。
(参照:「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2011年10月号│障害保健福祉研究情報システム)
コミュニケーション能力は、周囲の社員と意思疎通をしながら働くために欠かせません。働き手の立場から見ても、「電話が苦手なので、メール中心の業務にしてほしい」など希望を伝える際にも役立ちます。
関連記事:【発達障害タイプ別】向いてる仕事と長く働くコツ、悩みの解決方法
3.ソーシャルスキルトレーニング(SST)で得られる3つの効果
ソーシャルスキルトレーニングを受けることで、以下の効果が得られます。
- 1.人間関係で適切なコミュニケーションが取れるようになる
- 2.自身の感情をコントロールできるようになる
- 3.相手の気持ちを考えた行動ができるようになる
ソーシャルスキルトレーニングは、効果が実証された体系的な方法です。
大阪府立子どもライフサポートセンターによると、ソーシャルスキルトレーニングを実施した子どもたちは、実施前と比べて人間関係を作るスキルや、ほかの人に対する不安が低下したという結果が出ています。
(参照:ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)のご紹介│大阪府)
このように、ソーシャルスキルトレーニングを対象者に適切に実施することで、各自が抱える課題の解決が見込まれます。
3-1.人間関係で適切なコミュニケーションが取れるようになる
コミュニケーション能力の向上にソーシャルスキルトレーニングが役立ちます。
たとえば、相手や状況に応じた言葉選びや、誰かへの相談ができるようになります。また、相手との距離や場所に合わせた、ちょうど良い声量での会話も習得可能です。
結果的に、トラブルを招くような言動をしなくなったり、自分の気持ちを上手く表出できたりするようになったり、人間関係の構築や維持がしやすくなります。
人間関係が円滑になることで、対象者自身のストレスや不安も軽減できるでしょう。
3-2.自身の感情をコントロールできるようになる
人間関係では、感情をコントロールすることが重要です。とくに怒りの感情は、感じるままに表に出してしまうと、相手との口論による関係悪化など、さまざまな悪影響を及ぼします。
ソーシャルスキルトレーニングでは、まず感情をコントロールする意義を学びます。
その後、「自分の感情を表に出す前にワンクッション置く」「相手の事情を聞く」「自分の気持ちを相手に伝える」などの方法を、段階的に学んでいきます。
最終的には、相手にどのような行動を取ってほしいかを伝えられることを目指します。感情をコントロールできるようになることで、人間関係を円滑にでき、また自己管理もしやすくなるでしょう。
3-3.相手の気持ちを考えた行動ができるようになる
発達障害などによりコミュニケーションに困難のある方は、自分の行動が相手にどのような影響を与えるかを考えるのが苦手な方も多くいます。
ソーシャルスキルトレーニングをとおして、相手の気持ちを読み取る力を身に付けます。
「もし今自分が相手を叩いたら、痛いだろうな」という具合に考えられるようになれば、コミュニケーションもスムーズにできるでしょう。結果的に、その場に適した行動が取れるようになります。
4.ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う際の5つの形式
ソーシャルスキルトレーニングを行う際は、以下の5つの形式があります。
- 1.ゲーム・レクリエーション
- 2.ディスカッション
- 3.ロールプレイ
- 4.共同活動・共同行動
- 5.ソーシャルストーリーの活用
それぞれのトレーニング形式を詳しく解説します。
4-1.ゲーム・レクリエーション
ゲームやレクリエーションは、明確なルールが定められています。また、一緒に遊ぶ相手とのコミュニケーションも多く発生するため、ソーシャルスキルトレーニングには最適です。
実施するゲームやレクリエーションの種類は、対象者の年齢によって変わります。
たとえば、小学生にはボードゲームやカードゲームが有効です。かくれんぼなどの昔の遊びや、対戦型ではないテレビゲームなどを導入することもあります。
中学生以上の対象者には、コンセンサスゲームが適しています。
コンセンサスゲームとは、ある課題に対して取るべき行動を自分で考え、その内容をグループディスカッションするゲームです。企業の新人研修などでも取り入れられています。
おすすめのゲームを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
4-2.ディスカッション
ディスカッションでは、相手の意見をしっかり聞き、そのうえで自分の意見を述べます。
また、相手を言い負かすのではなく、言葉のキャッチボールをする必要があります。そのため、ディスカッションはコミュニケーション能力の向上に適しています。
参加者全員が興味を持てるテーマで参加人数や実施する時間を設定すると、円滑にディスカッションが進められます。
また、あるテーマに対して賛成・反対など選択肢を2つ設定し、自分がどちらかを決めて意見を交わすルールにもできます。テーマ自体を、参加者同士で話し合って決めるのも良いでしょう。
4-3.ロールプレイ
ロールプレイとは、日常生活で起こりうるさまざまな場面を想定して、その場面に適した行動をすることです。疑似体験を通して、実際にその場面が訪れた際にどう行動すれば良いかを考えます。
たとえば、重い物を運びたくても運べない状況下で、周囲にいる人が気づいていない場面を想定しましょう。そして、もし自分だったらどのように行動するかを、参加者が実際に演じるのです。
このとき重要なのは、上手く演じることよりも、その場でどのような行動が求められるかを考え、自分なりに動くことです。また、実際に演技する以外に、人形などを使って実施する方法もあります。
関連記事:SSTでのロールプレイ実践方法|場面設定やシナリオ例、注意点も解説
4-4.共同活動・共同行動
何かを作るためにグループで協力して行動するのも、ソーシャルスキルトレーニングの一種です。たとえば、何かの作品を協力して作ったり、調理を一緒に行ったりします。
このトレーニングでは、設定された目標を達成するために、ほかの人との相談や助け合い、役割分担をすることを学びます。
実際にものごとを体験しながらトレーニングができるため、実践的なソーシャルスキルを身に付けるための理想的な方法です。
実施する内容は、対象者の年齢に応じて変更すると良いでしょう。
たとえば創作活動を行う際、対象者が小学校低学年なら切る・貼る工作を中心にする、小学校高学年であれば縫物などを取り入れる、などが挙げられます。
難易度が高すぎるものや、工程が複雑すぎるものは、かえって参加者のモチベーション低下につながります。
4-5.ソーシャルストーリーの活用
「ソーシャルストーリー」とは、社会の暗黙のルールやコミュニケーションの方法などを、絵と短い文章でまとめたものです。
読者の人格を肯定する文体で書かれているのが特徴で、さまざまな書籍が発行されています。
また、ソーシャルストーリーは自作も可能です。対象者一人ひとりに合わせて直したい問題行動・とくに身に付けてほしいスキルに注目し、オリジナルのシナリオを作ってみても良いでしょう。
なお、ソーシャルストーリーを作るためには特別な免許・資格は要りません。
また、一般の方に向けて、ソーシャルストーリーの作り方講座が開催されていることもあります。ほかのトレーニングとは違い、行動ではなく文章・ことばを軸にした訓練です。
5.日常生活を想定したソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルトレーニングの種類は、主に「日常生活を想定したもの」「学校生活を想定したもの」「仕事の場面を想定したもの」の3つに分けられます。
なかでも日常生活を想定して行われるソーシャルスキルトレーニングでは、以下の内容が実施されます。
- ・あいさつをする
- ・約束を守る
- ・相手の気持ちを考える
それぞれのトレーニング内容について、詳しく解説します。
5-1.あいさつをする
状況に応じたあいさつを、親や近所の人、友達などにできるようにするトレーニングです。
このとき、朝・昼・夜といったシーンを想定し、それぞれの状況に合ったあいさつを選べるようにする力も身に付けます。
あいさつを苦手とする方は、「どんなときにあいさつをすればいいか分からない」「自分からあいさつをすることに抵抗がある」など、さまざまな理由を抱えています。
最初は、「あいさつをすることは、自分も相手も気持ち良くすること」だと認識できるところからスタートしましょう。
その上で、いろいろな人・時間帯に合わせたあいさつができるよう、何度も練習を重ねます。
5-2.約束を守る
約束を守るのも、立派なソーシャルスキルトレーニングの1つです。
たとえば、「夕食の前におやつを食べない」「使った物は置いてあった場所に片付ける」などの約束を守れるようになることを目指します。
このとき、「約束を守ると、さまざまな良いことがある」と伝え、理解してもらうことが重要です。自分に関わる約束は自分で決め、決め事を守る大切さも伝えられると良いでしょう。
もし約束が守れない場合は随時指摘し、「なぜ守れなかったか」を対象者とともに考えます。そして、守れるようになるためにどんな点を意識すれば良いか、次回はどのように行動するかなどを検討してもらいます。
5-3.相手の気持ちを考える
発言をするときに、相手の気持ちを考えられるようになることを目指すのも重要なトレーニングです。
このトレーニングをする際は、「人によって、物事の感じ方には違いがある」と知るところから始めると良いでしょう。
たとえば、他人に何かを言われたとき、自分はどの程度怒りを感じるかを、点数などで表すなどの方法があります。
また、簡単なシナリオとその場で考えられる行動・言動のパターンを用意し、どのような行動・言動を取れば、お互いが気持ち良くいられるかを訓練すると、日常生活でも実践しやすくなるでしょう。
シチュエーションごとのソーシャルスキルトレーニングは「こんな時どうする?」子どもたちが困る場面を個別にSSTで教える方法をご覧ください。
6.学校生活を想定したソーシャルスキルトレーニング(SST)
学校生活を想定したソーシャルスキルトレーニングには、以下のものが挙げられます。
- ・忘れ物をしていないか確認する
- ・学校生活のルールを守る
- ・決められた時間に行動する
こうしたソーシャルスキルは、学校生活はもちろん、社会でも必要とされるものばかりです。各トレーニングを詳しく解説します。
6-1.忘れ物をしていないか確認する
教科書や持ち物など、忘れ物をしていないか確認するトレーニングです。授業に必要な道具をきちんと準備できているか、提出物を期日までに出せているかどうかを確認します。
忘れ物をする方は、注意力不足や判断力が不十分であることがほとんどです。また、持ち物についての指示を聞いても覚えられないこともあります。
そこで、持ち物に目印を付ける・色分けをする、必要な物のメモを取るなどのトレーニングをします。まずは自分が何を持っているかを把握し、状況に応じて選択・準備できるようにするのが目的です。
また、「不要なものを持っていかない」ことも重要です。ソーシャルスキルトレーニングを通して、その時々に必要な物を、過不足無く準備できるようにします。
6-2.学校生活のルールを守る
学校生活のルールを守れるようになるためのトレーニングもあります。
学校には、さまざまなルールが定められています。分かりやすいのは、職員室や保健室などへの入退室時のノックとあいさつです。
また、その日の天気や温度に合わせて自分自身の身なりを整えること、誰かにあいさつをすること、呼びかけられた際は返事をすることも含まれます。
こうしたルールを守るトレーニングも、スモールステップに分けて実施しましょう。たとえば職員室や保健室への入退室なら、扉を開ける前にノックをするといったところから始めてみてください。
6-3.決められた時間に行動する
授業の時間や休みの時間など、決められた時間に行動をするトレーニングも実施可能です。
学校には決められた時間割があり、その時間割に沿って行動することが求められます。「授業開始のチャイムで着席する」「遅刻をしない」といったことを自然と意識し、行動できるようになる姿を目指しましょう。
「10時◯分前になったら、準備を始めてね」など、時間を意識できるような声かけが必要です。ただし、小学校低学年の場合は、そもそも時計がうまく読めないこともあります。
「時計の長い針が数字の5に来たら、準備を始めてね」といったように、伝え方にも工夫が必要です。
7.仕事の場面を想定したソーシャルスキルトレーニング(SST)
ソーシャルスキルトレーニングには、仕事の場面を想定して行われるものもあります。
- ・職場復帰支援のSST
- ・一般企業が実施する定着支援のSST
こうしたソーシャルスキルトレーニングは、就労移行支援や、障害者の就労・定着を目指して行われることが多くあります。各トレーニングを詳しく解説します。
7-1.職場復帰支援のSST
休職していた人が復職のために行うソーシャルスキルトレーニングもあります。
社会復帰を目指して行うトレーニングで、休職中や復職後に困難になりそうな場面を想定したロールプレイを行います。
内容は、「復職前に上司に行うあいさつ」「休職中の過ごし方を聞かれたときの対応」などから、「飲み会の誘いの断り方」といったことまでさまざまです。
職場復帰支援のSSTにより、休職のきっかけとなった時のことを振り返り、職場への定着を図ります。また、具体的な対処法を身に付けることで、再び休職や離職をしてしまうことも予防できます。
関連記事:復職支援プログラムとは?5つのステップとメニュー例│策定時の注意点も
7-2.一般企業が実施する定着支援のSST
福祉施設や就労移行支援施設ではなく、一般企業でソーシャルスキルトレーニングを実施しているケースもあります。
定着支援のソーシャルスキルトレーニングは、とくに障害者雇用を行っている企業で、社内研修の形で実施されている傾向です。
内容も、それぞれの職場環境を想定しているものになっているのが特徴で、
- ・外部や社内からの電話対応
- ・業務の依頼の仕方
- ・失敗をした時の対応
などが挙げられます。
企業内でのソーシャルスキルトレーニングは、主にその企業の社員がトレーナーとなって実施します。
しかし、トレーナーとなる社員は通常業務の傍らに指導に必要な研修を行う必要があったり、障害者と接する機会が少なく戸惑ったりすることも想定されます。
関連記事:社会に出るための技能訓練!障害を持つ大人向けのソーシャルスキルトレーニング
8.ソーシャルスキルトレーニングを実施する前のチェック項目
ソーシャルスキルトレーニングを実施する前に、以下の点をチェックしましょう。
- ・対象者の年齢
- ・対象者の性別
- ・現在持っているソーシャルスキルの度合い など
なぜなら、ソーシャルスキルトレーニングのプログラム内容は、対象者によって変える必要があるためです。
たとえば小学生を対象に、社会人に実施するような就労支援トレーニングを行っても、効果は見込めないでしょう。
また、感情のコントロールができる状態の方に、感情のコントロール方法を学ぶトレーニングを実施しても、効果は期待できません。
ソーシャルスキルトレーニングは、対象者の現在のスキルや特性を把握した上で実施することで、十分な効果が見込めます。
関連記事:SST研修で職場・スタッフの困りごとが解決できる!やり方や実践例
9.ソーシャルスキルトレーニングの効果を最大限にするには
ソーシャルスキルトレーニングの効果を最大限にするには、実践と改善を何度も繰り返すことが重要です。
ソーシャルスキルトレーニングは、一度実施すれば誰でも習得できるものではありません。トレーニングする内容を対象者が自然にできるように定着するまで実践する必要があります。
そして、同じトレーニングの回数を重ねれば良い訳でもありません。まずは、トレーナー側がしっかりとお手本を見せ、対象者がうまくできたときには良く褒めてあげましょう。
また、対象者が間違える・うまくできない部分があれば、その点はきちんと指摘します。そして、次回以降のトレーニングで、改善できるように努めてもらいます。
対象者がつまずいた部分は、より細かい手順・ステップに分ける、再度お手本を見せるなど、トレーナー側も何らかの工夫をすると良いでしょう。
ソーシャルスキルトレーニングのことをもっと学びたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
- ・逆SSTとは|発達障害者と健常者の相互理解をつくるトレーニング
- ・ソーシャルスキルトレーニングでおすすめのアプリ4選&導入の注意点とは
- ・【年代別】ソーシャルスキルトレーニング(SST)の例8選|手順も解説
10.VR技術を活用したSSTなら「Realize VR」
ソーシャルスキルトレーニングの効果・必要性を見てきましたが、導入にはトレーナーの専門知識の習得が不可欠です。また、相手に応じた準備も必要となります。
ソーシャルスキルトレーニングをこれから学ぶ方、実践の経験が浅い方には、学校生活や職場での就業体験など、シチュエーションに応じたトレーニングを実施することは簡単ではありません。
また期待した効果が得られない可能性もあります。
10-1.リアルな体験ができるVR技術を用いたSSTとは
こうした問題を解決する方法として、いま注目を集めているのがVR(バーチャルリアリティ)技術を活用したソーシャルスキルトレーニングです。
VRは、仮想現実と日本語で訳されています。VRヘッドセットを装着することで、360°の映像が目の前に広がり、限りなく実体験に近い体験ができます。
VR技術を活用したソーシャルスキルトレーニングが、最近では福祉施設や教育機関・企業などで導入されています。かつ利用者が楽しみながら受講でき、高い効果を得られることで、人気が拡大しています。
10-2.学校・職場など「150以上のリアルな体験」ができるVR教材
ソーシャルスキルトレーニングに使えるVR教材「Realize VR」では、自宅や職場、面接などさまざまなシーンでリアルな体験ができます。
「Realize VR」は
- ・150種類以上の充実したシナリオ
- ・小学生~社会人まで幅広い年齢が対象
- ・トレーニングごとに成長記録
- ・伸ばせるスキル(MSPA評価)を可視化
- ・没入感があり、集中力を切らさず取り組める指導システム
などが特徴です。
また、正解・不正解の例が豊富にそろっているのもポイントです。
ソーシャルスキルトレーニングは、できるようになるまで何度も繰り返し取り組む必要があります。VR教材なら、さまざまなパターンでの反復練習にも対応でき、確実に理解を深められます。。
何より、ソーシャルスキルトレーニングの専門知識がなくても、一人ひとりに応じたトレーニングを実施可能です。付きっきりでの指導が不要で、人手が少なくても十分に対応できるでしょう。
「専門的な人材育成のノウハウがない」
「採用・教育コストをできるだけ抑えたい」
「集客に役立つ療育コンテンツを探している」
などでお悩みの施設・企業様から「Realize VR」は高く評価をいただいています。
ご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。