SST(ソーシャルスキルトレーニング)向けの教材8選|無料ダウンロード&市販ゲーム

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公開日:  カテゴリー: SST

「子どもたち一人ひとりに最適化したトレーニングを行いたい」「飽きずに取り組める教材を取り入れたい」と願うものの、時間的・人員的問題から実践できていないと悩んではいませんか。

スタッフの数やリソースの課題は、貴施設だけの問題ではありません。実際、全国にある放課後デイサービスの4割以上は、「十分な支援を行うための職員確保が難しい」と感じているとする調査結果があります。

(参考:放課後等デイサービスの実態把握及び質に関する調査研究報告書|みずほ情報総研株式会社

しかし子どもたちの成長は、待ったなしです。スタッフ数の充足とは無関係に、彼らは急激に大きくなります。

そこでおすすめしたいのが、既成教材や市販のゲームをSSTに取り入れる方法です。教材をイチから作成する必要がないため、短時間で子どもたちに合った教材を用意できます。

本記事では、ソーシャルスキルトレーニング教材の開発を手掛けるRYD編集部が、「無料ダウンロードできるSST向けの学習教材(ワークシート・プリントやゲーム)」や「SSTに利用できる市販ゲーム」を厳選して紹介します。

最後までお読みいただき、子どもたちの興味を掻き立てる教材ラインナップを手に入れてください。

関連記事:ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?必要性や各シーンを想定した方法を解説

1.SST(ソーシャルスキルトレーニング)の教材を無料ダウンロードできるサイト3選

はじめにすぐにSST(ソーシャルスキルトレーニング)で使える教材を無料ダウンロードできるサイトを、3つ紹介します。ワークシート・プリントや時計のイラスト、カレンダーなど、教材の種類も豊富です。

  1. ①親子でつくるソーシャルスキル教材
  2. ②特別支援教育わくわく教材
  3. ③ちびむすドリル

紹介する3つのサイトは、いずれも会員登録不要・無料で利用できます。

なお小学生向けのおすすめ教材は「小学生のソーシャルスキルトレーニングに使える教材(無料&市販ゲーム)を一挙紹介」で取り上げているので、あわせてご覧ください。

1-1.親子でつくるソーシャルスキル教材

「親子でつくるソーシャルスキル教材」は、障害のある子どもの自立と社会参加を目的として活動する特別支援教育デザイン研究会が運営しています。

ワークシート・プリントが「生活」「コミュニケーション」「地域」の3つにカテゴリー分けて収録されており、探しやすいのが特徴です。

各カテゴリーには、以下を一例とするワークシートが含まれます。

ワークシート・プリント

ワークシートに挿入するイラストは、ファイルのなかから好きなものを選んで組み合わせられるため、子どもたちにあう素材の選定が可能です。

解説のコメントを自由に記載できるカスタマイズ性もあり、どのような用途にも使いやすい工夫が凝らされています。

チェックリストや「日直のしごと」を使ってタスクを可視化しておくと、やるべきことを忘れてしまう子どもでも見て確認できます。はじめは短い時間から使いはじめ、慣れてきたら「1日」「1週間」と長くしていっても良いでしょう。

「見栄えの良い枠だけが欲しい」「中身は子どもたちに合わせて自由にカスタマイズしたい」という指導者におすすめです。

公式サイト:親子でつくるソーシャルスキル教材

1-2.特別支援教育わくわく教材

「特別支援教育わくわく教材」には、元小学校教諭・特別支援学級教諭が特別支援教育の現場や発達障害児とかかわる中で自作した教材や、「こんな教材があったら良いな」を形にした教材が揃っています。

「指導者が正しい使い方を理解し、効果的に使えるように」との目的で、教材の一つひとつに「教材が生まれた背景」や使い方の解説がついています。

教材は「プリント教材」「タブレット教材」「カード教材」の3種類です。文字や読解、計算などの基本学習から眼球運動トレーニング、ワーキングメモリトレーニングなど、バリエーションも豊かに揃っています。

たとえばビジョントレーニング教材で「見る力」を鍛えると、黒板-ノート間の視線移動がスムーズになり、授業の理解度が深まると期待できます。

公式サイト:特別支援教育わくわく教材

1-3.ちびむすドリル

「ちびむすドリル」は知育教材のダウンロードサイトです。年齢や学びのテーマに応じた多様な教材の中には、SSTに活用できるプリント題材も数多くあります。

SSTで使いやすい時計のイラストや運筆(指先の微細運動)、工作、迷路などは「幼児教材」カテゴリに入っています。「小学生」以上になると算数や漢字、英語などの学習プリントが多数収録されています。

「SSTにくわえて、学習にも取り組ませたい」と考える指導者におすすめできるサイトです。

SSTの合間に迷路を“お楽しみ”として使いながら、先を見通す力や運筆を自然とトレーニングできます。またルートを行ったり来たりする練習は、学習に不可欠な試行錯誤力も養成します。

また、サイズやフォーマットのバリエーションが豊富なカレンダーもダウンロードできます。「予定を俯瞰する」「先を見通す」などの訓練にも活用してみてください。

公式サイト:ちびむすドリル

2.教材にも使える!SST(ソーシャルスキルトレーニング)におすすめの市販ゲーム5選

ボードゲームやカードゲームには、「相手の思惑を読む」「相手の裏をかく」「仲間と協力してゴールを目指す」など、まさにSST(ソーシャルスキルトレーニング)で養成したい力が必要な場面が登場します。

市販のゲームもSSTの教材として活用してみましょう。SSTにも使える市販のゲームを、5つ紹介します。

  1. ①はぁって言うゲーム
  2. ②ことばのパズル もじぴったん
  3. ③きいてはなして はなしてきいて トーキングゲーム
  4. ④見る目をかえる 自分をはげます かえるカード
  5. ⑤バランスゲーム

普段のトレーニングとは目先が変わるため、子どもたちが前のめりになって楽しんでくれることも期待できます。

関連記事:【遊びで学ぶ!】特別支援で使えるSSTのゲーム10選&SSTの活かし方

2-1.はぁって言うゲーム

文字にすると同じ「はぁっ」でも、場面によって含まれる感情はさまざまあります。「怒り」「落胆」「呆然とする」「疑問を伝える」、まだまだあるでしょう。

「はぁって言うゲーム」は、友だちとの間でも起こりうる何気ない発話や仕草にも気持ちが隠れており、相手を理解しようという姿勢を養成できるゲームです。

また「自分の気持ちを伝えるには、表現に工夫が必要だ」など、コミュニケーションの基本も学べます。お題は「はぁっ」のほかに、「えー」「なんで」などの一言や、「寝顔」「振り向く」などの仕草、「早口言葉」「自己紹介」など30種類が含まれます。

遊び方は非常にシンプルです。

数人のプレイヤーが共通のセリフを与えられたシチュエーションで演じ、ほかのプレイヤーがどんな気持ちのセリフかを当てて正解を競います。

公式ルールでは「身振り・手振り禁止」としていますが、SSTで使う場合は身振りや手振りを含めた全身の感情表現を取り入れても良いでしょう。

・プレイ人数:3~8人

・プレイ時間:15分程度

・対象年齢:8歳以上

公式サイト:はぁって言うゲーム|幻冬舎

2-2.ことばのパズル もじぴったん

 

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「ことばのパズル もじぴったん」は、平仮名1文字が書かれたカードを順につなげ、言葉をつくるゲームです。

バンダイナムコからSwitch版が発売されている人気ゲームでもあるため、「それ、知ってる!」と喜ぶ子どももいるかもしれません。

ルールは簡単で、中央に置かれたひらがなを起点に手持ちのカードを組み合わせて「縦・横」に言葉をつくるだけです。平仮名が読めれば、幼児からプレイできます。

はじめは「たこ」「むし」などの短い言葉から始まりますが、徐々に「たこたべる」「むしきらい」と長い言葉を作れるようになります。

「いかに面白く・長くつなげられるか」と、熱中して言葉を探すプロセスが、自然とワーキングメモリのトレーニングになります。

相手が言葉を探している時間は待っていなければならないため、社会的なルールを学び実践するためにも役立ちます。

・プレイ人数:2~5人

・プレイ時間:20~30分程度

・対象年齢:3歳以上

公式サイト:ことばのパズル もじぴったん|メガハウス

2-3.きいてはなして はなしてきいて トーキングゲーム

 

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元筑波大学附属大塚特別学校教諭である安倍博志氏が監修した、「ゲームなのに勝ち負けがない」ゲームです。

「競争要素があると勝つことに異様にこだわってしまう」「負けると癇癪を起こす」などの特性をもつ子どもに向いています。

やり方は「カードを引き、書かれている質問に答えるだけ」です。ただし、ほかのプレイヤーは黙って発言者の話を聞かないといけません。

「周りが黙って自分の話を聞いてくれる」ルールが効果絶大だと評判です。「コミュニケーションが苦手」「話すことに自信がない」などの課題をもつ子どもたちにも、人前で話す自信を与えてくれるためです。

また「人の話を最後まで聞けない」「とめどなくしゃべり続ける」タイプに対して、話を聞く訓練にも活用できます。小学生以外にも、人間関係の悩みが深まりはじめる中学生・高校にもおすすめです。

・プレイ人数:2~6人程度

・プレイ時間:30分程度

・対象年齢:6歳以上

公式サイト:きいてはなして はなしてきいて トーキングゲーム|UCHIDAS

2-4.見る目をかえる 自分をはげます かえるカード

 

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本来は「マイナスの言葉をプラスにかえる」「発想や着眼点を転換する」などの訓練に使うカード教材です。子どもたちが一人でもできるゲームにも転用できるため、ここで紹介しました。

教材セットには45枚のカードとウォールポケットが入っています。

カードは片面に「あがり性だね」「だらしないなあ」などのマイナス言葉が、反対の面には「とても真面目に取り組もうとしているね」「おおらかな気持ちを持っているね」などのプラス言葉が書かれています。

マイナス言葉を裏返すと、プラスに転換された言葉が見える仕組みです。

「友だちからネガティブな言葉を言われた(言ってしまった)」とき、言葉の印象をプラスにし、ストレスの軽減に役立ちます。

ゲームとして利用する際は、マイナスの面を子どもたちに見せ、プラスに表現するとどうなるか考えさせてみましょう。

放課後デイサービスの入り口に掛けておき、プラスの言葉を見て自己肯定感を高めてから帰るなどの使い方もできます。

公式サイト:見る目をかえる 自分をはげます かえるカード|UCHIDAS

2-5.バランスゲーム

細かなパーツを慎重に積み上げるバランスゲームは、楽しみながら指先の微細運動の訓練ができます。

指先を器用に使うには、安定した体幹や全身の平衡感覚が欠かせません。バランスゲームで指先を細かく使うプロセスを通じて、体全体のトレーニングにもなると期待できます。

崩さないように仲間と相談し協力するシーンも多いため、基本的なコミュニケーションの活性化も期待できます。

「座っていられない」「すぐに姿勢が悪くなる」などの課題にも、バランスゲームの導入がおすすめです。

「ジェンガ」は世界で有名なバランスゲームです。また「すみっコぐらし」「スーパーマリオ」など、キャラクターを題材にしたバランスゲームも多数登場しています。

関連記事:【年代別】ソーシャルスキルトレーニング(SST)の例8選|手順も解説

3.VRがSST(ソーシャルスキルトレーニング)のスタッフ不足を解決します

ワークシートや市販ゲームの導入で、SSTのマンネリ解消と子どもたちの興味喚起につながる期待できます。

しかし、根本的な課題の1つである「スタッフ不足」は、残念ながら解決できません。子どもたちは目新しいものを、身近な大人と共有したがるためです。

新しい教材を取り入れる度に、きっとこのような声が聞かれるでしょう。

「先生、見てみて~!」

「これでいい?」

「一緒にやろうよ!」

引きもきらずに呼ばれる日々は喜ばしさがある反面、忙しさに拍車をかけてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、SSTの質の向上とスタッフ不足を一気に解決できる「VRを使ったトレーニング」の導入です。

3-1.VRを使ったSSTとは?

VRは「Virtual Reality(仮想現実)」の略です。専用のVRゴーグルを装着すると、自分の周り360° すべてを球体のスクリーンに囲まれたような感覚になり、現実に限りなく近い体験が得られます。

VRゴーグルにSSTの動画を収録しておけば、ゴーグルを装着するだけでトレーニングができます。「スタッフが少ない」「経験の浅いスタッフしかいない」などの場合でも、均質なトレーニングが提供できる点が特長です。

またVRゴーグルは高い没入感があるため、散漫になりやすい子どもでも集中して取り組めます。

3-2.VRによるSSTなら「Realize VR」がおすすめ

Realize VRは「次世代の最新教育コンテンツ」として、さまざまなメディアでも紹介されています。

Realize VRは、SSTを必要とする子どもたちに合わせた300以上の場面の動画を収録している点が特長です。一般的なトレーニング場面はもちろん、「ことばのトレーニング」や就業体験トレーニングなど、保護者からのニーズが高いコンテンツも揃っています。

また単なるVR教材の提供に留まらず、貴放課後デイサービスが抱える課題解決に一緒に取り組むサポート体制もあります。

「スタッフが少なくても高品質なサービスを提供したい」「子どもたちに、もっと合った支援を実践したい」とお考えの方は、ぜひ一度Realize VRにご相談ください。

VRゴーグルの体験を含め、SSTの充実や施設の課題を解決するご提案をいたします。

関連記事:ソーシャルスキルトレーニングでおすすめのアプリ4選&導入の注意点とは

4.まとめ

子どもたちが集中してSSTに取り組むためには、目新しさやお楽しみ要素も大切です。かといって、毎日のSSTのために独創的なアイディアを出し続けるのは、現実的ではありません。

また教材やツールを自作するには、時間も人手も足りない放課後デイサービスも数多くあります。

SSTに使う教材に困ったときは、ダウンロードサイトや動画、市販のゲームなども活用しましょう。短時間でクオリティの高い教材を用意できるため、スタッフの時間をもっと子どもたちに割り当てられるようになります。

また「子どもたちが一人でも取り組める」教材を導入すれば、スタッフ不足の問題も解決できます。Realize VRに代表されるVRを使ったSSTは、その一例です。

「VRでSSTをするって、どういうこと?」と疑問に感じた人こそ、まずは試してみてください。リアル感と没入感に、「これは子どもたちに体験させてみたい!」と思って頂けます。