ソーシャルスキルトレーニングでおすすめのアプリ4選&導入の注意点とは

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公開日:  カテゴリー: SST

ソーシャルスキルトレーニングは、成果が出るまでに時間がかかる訓練です。同じようなカリキュラムの繰り返しにより、指導者・参加者いずれもマンネリ感や飽きがきてはいないでしょうか。

あるいは「もっと手軽で効果が高いトレーニング教材があれば」と、情報を探している人も多いかもしれません。

そこでおすすめなのが、アプリをソーシャルスキルトレーニングに導入する取り組みです。用途も種類も豊富なアプリを活用できれば、新しいトレーニングの提供も可能になります。

本記事では、ソーシャルスキルトレーニングへのアプリ導入に関して、詳しく解説します。記事で紹介しているおすすめのアプリや期待できる効果を参考に、ソーシャルスキルトレーニングの質・バリエーションの改善にチャレンジしてみましょう。

1.ソーシャルスキルトレーニングの主な手法

ソーシャルスキルトレーニングの主な手法

ソーシャルスキルトレーニングは、人間関係の構築や心身の状態の安定・セルフコントロールなどの面で課題を持つ人が、社会生活に必要なスキル(ソーシャルスキル)を身につけるための訓練です。一人ひとり異なる課題に対応できるよう、さまざまな手法で訓練が実施されます。

一般的なソーシャルスキルトレーニングの手法を、簡単に説明します。より具体的な内容は「ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?必要性や各シーンを想定した方法を解説」をご覧ください。

1-1.ゲーム

ゲームは誰でも参加しやすく、楽しみながらソーシャルスキルを学べるツールです。種類も豊富で大掛かりな準備もいらないため、広く実施されています。

ゲームを進行するにあたって他者との協力や相談、自分以外の人の感情理解が必要な場合が多く、コミュニケーションスキルを伸ばしたいときに向いています。

関連記事:【遊びで学ぶ!】特別支援で使えるSSTのゲーム10選&SSTの活かし方

1-2.ロールプレイ

ロールプレイは、日常生活における適切な振る舞いを学ぶ際に行われるトレーニングです。実際に起こりうる場面を想定して行うため、学びと実践とをつなげたい場合に用いられます。

ロールプレイの目的は、場面に応じたふさわしい振る舞い方を知ることにあります。そのため、まず指導者がお手本を見せ(リハーサル)、真似る形で参加者が実演する流れで行うのが一般的です。

関連記事:SSTでのロールプレイ実践方法|場面設定やシナリオ例、注意点も解説

1-3.ディスカッション・ディベート

ディスカッションやディベートは、あるテーマに沿って参加者が意見を出しあう方法です。他人の話を聞き、自分の意見を述べる訓練になります。また「ルールを守る」「他人を理解しようとする」スキルも身に付きます。

テーマを決めるだけではなく、「参加者を賛成と反対に分け、発言の順番を決める」など参加しやすいルール作りも大切です。

1-4.共同行動/共同の遊び

グループにわかれ、共同で1つの目的を達成する活動を共同行動といいます。創作活動や料理などがよく見られます。また、協力し合って遊びを成立させる取り組みは、「共同の遊び」とも呼ばれます。

共同行動では「アイディアを出しあう」「手順を決める」など、活動の随所で周囲との協力が必要になります。コミュニケーションの基本を学べるトレーニングとして有効です。

1-5.ワークシート/絵カード/ソーシャルストーリー

書き込みできるワークシートや絵カードを使い、視覚的に課題認識と解決策を学べるトレーニング形態もあります。

またソーシャルストーリーとは「事実・心の動き・望ましいふるまい」などをストーリー形式でわかりやすく解説したものです。

いずれも参加者が課題を客観視しやすく、ソーシャルスキルを俯瞰的に学べる特徴があります。

関連記事:【年代別】ソーシャルスキルトレーニング(SST)の例8選|手順も解説

2.ソーシャルスキルトレーニングでアプリ利用が注目される理由

ソーシャルスキルトレーニングでアプリ利用が注目される理由

近年、ソーシャルスキルトレーニングに適したアプリが数多くリリースされています。アプリの中には、国立大学が開発に携わったものもあります。

なぜ、ソーシャルスキルトレーニングでのアプリ利用が注目されているのでしょうか。3つの理由を解説します。

2-1.受講生の特性に合わせたメニューを提供できる

アプリはバリエーションが豊富です。

指導者が特別な準備をしなくても、受講生の目的(課題)に合わせて多彩なトレーニングメニューを提供できる利便性がある点が、注目されているポイントの1つです。

アプリなら、ダウンロードするだけで以下のようなトレーニングが可能になります。

  • ・タイマーアプリで「時間感覚」の訓練をする
  • ・タスク管理アプリで「生活習慣」を形成する
  • ・協力ゲームアプリで「対人関係」を学ぶ

ソーシャルスキルトレーニング向けに開発されたアプリでなくとも、課題に合ったアプリであればトレーニングに活用して構いません。

ソーシャルスキルトレーニングにおすすめのアプリは、後ほど紹介します。あわせてご覧ください。

2-2.指導者が少なくても1対1トレーニングができる

アプリは、指導者がいなくても訓練を行える点でも注目されています。アプリは基本的に、受講生自身が一人で取り組めるように設計されているためです。

たとえばロールプレイは、リハーサルを行うスタッフが少なくとも2名必要になります。しかし、放課後等デイサービスや児童発達支援施設、療育施設などの現場では、指導者確保が課題となるケースも少なくありません。

アプリなら、「ソーシャルスキルトレーニングを導入したくても、指導者がおらず実行できない」ジレンマが解消できると期待されています。

2-3.参加者の心理的ハードルを下げられる

アプリを使ったソーシャルスキルトレーニングでは、受講生はデバイスに向かって一人で取り組みます。

この「デバイスで訓練を行う」スタイルが、参加者の心理的ハードルを下げる効果もあると考える訓練士もいます。。ソーシャルスキルトレーニングを受ける人の中には、人間関係の構築や他人との距離感の保ち方に課題を持つケースが多いからです。

またアプリなら「上手にできなかった」「変な言い方をしてしまった」など、周囲からどのように思われるかも気になりません。これまで周囲の目が気になってグループワークに参加しにくかった人でも、トレーニングできる手法として注目されています。

3.アプリの活用で伸びるソーシャルスキル

アプリの活用で伸びるソーシャルスキル

ソーシャルスキルには、対面型でトレーニングしたほうが伸ばしやすいスキルと、アプリでも伸ばしやすいスキルの2種類があります。

ここではアプリで伸ばしやすいソーシャルスキルを、4つ紹介します。

3-1.即時反応力

瞬間的な思考・判断力や指示への反応力は、アプリでトレーニングできるスキルの1つです。

反応が遅いとアプリ上の取り組みが成功しないため、参加者はアプリのペースに合わせて反応できるように、自身の能力を向上させようと努力します。

ソーシャルトレーニングを実施する際は、指示へ即座に反応しなければならないアプリや、ステージを段階的にクリアできるようなゲーム性を持つアプリがおすすめです。

3-2.短期記憶力

アプリでは、短期記憶力の養成も期待できます。

フラッシュカードや間違い探しアプリなどを活用しましょう。イラストを使ったアプリを選べば、文字が読めない低年齢の子どもたちでも取り組めます。

「覚えよう」と集中する意識が、多動・衝動性の抑制につながる相乗効果も期待できます。

3-3.場面最適な反応力

対人関係やコミュニケーション場面を扱うアプリは、シチュエーションごとに最適な振る舞い方や反応を学ぶ機会として最適です。

アプリなら短時間で数多くの場面を扱えるため、同じ1回のトレーニングでも得られる学びの量が大きく増えます。

「おすすめアプリ」で紹介するソーシャルスキルトレーニングアプリ「SSeT(セッテ)」での所要時間目安は、全33シーン・135問分が30分です。

一方、ロールプレイだと1つの場面につき、少なくとも30~50分はかかります。

3-4.言葉の使い方

語彙力や言葉の使い方も、アプリで伸ばしやすいスキルの1つです。

クイズ形式で語彙力を伸ばすアプリや、文章力・ストーリー構成力を養成できるアプリを使ってみてください。

語彙力は、自分の気持ちを正確に表現するために欠かせない力です。思いを表現できるようになったことでストレスが軽減され、衝動的な言動が収まるケースもあります。

3-5.結果として「自尊感情」も高まる

アプリでのソーシャルスキルトレーニングは、「間違えても恥ずかしくない」「周りの目を気にしなくて良い」などのメリットがあります。

グループワークや対人トレーニングより積極的に取り組める場合もあり、ソーシャルスキルが急激に伸びる人もいます。

アプリでのソーシャルスキルトレーニングに取り組んだ結果、自信や自尊感情などの副産物を得られる場合もあります。

4.ソーシャルスキルトレーニングでおすすめのアプリ4選

ソーシャルスキルトレーニングでおすすめのアプリ4選

ソーシャルスキルトレーニングにおすすめのアプリを、厳選して4つ解説します。ソーシャルスキルトレーニング向けに開発されたものから、一般向けの知育アプリまで選定しました。アプリ選びの参考にしてください。

4-1.SSeT(セッテ)

SSeT(セッテ)は、若い社会人を対象とした、コミュニケーションスキルの支援アプリです。

社会に出たばかりで適応に悩む人や、発達障がい(学習障がい・ADHD・自閉症スペクトラムなど)の人に向いた内容構成になっている点が特徴です。

置かれた状況や相手の感情を正しく認知し、適切な振る舞いができるようになることを目的に、イラストと解説で学びます。

公式ホームページ:SSeT(セッテ)

関連記事:社会に出るための技能訓練!障害を持つ大人向けのソーシャルスキルトレーニング

4-2.みんなでつなげっと

「みんなでつなげっと」は、子ども向け知育アプリシリーズ「ワオっち!」からリリースされている人探しゲームです。

マップに表示される人が話す困り事や要望を把握し、悩みを解決してくれる人をマップから探しましょう。

子どもたちが大好きな探し絵を楽しみながら、「他人の悩みを理解しようとする姿勢」「悩みの解決策を考える力」が身に付きます。

「みんなでつなげっと」は、動く絵本アプリ「親子でスマほん」に収録されています。

公式ホームページ:みんなでつなげっと

4-3.想いやりトーク

「想いやりトーク」は、相手に聞こえやすい話し方が練習できるアプリです。

自分の話し方を録音・再生し、声の大きさや聞き取りやすさを客観的に把握できます。

聞きやすい話し方のトレーニングを受けた声優による模範音声とも比較でき、話し方の改善点を把握しましょう。

気恥ずかしさから抵抗感を抱く人も少なくない話し方のトレーニングこそ、自宅で一人でできるアプリを活用しましょう。

ダウンロードサイト:想いやりトーク

4-4.絵カードタイマー

時間感覚やスケジュールの把握に課題を持つ人には、「絵カードタイマー」がおすすめです。

「タスクのイラスト」と「残り時間をあらわすタイマー」が組み合わさっており、視覚的に予定を把握できます。耳や文字からの情報が得にくいタイプにもおすすめのアプリです。

予定の前にアラームが鳴る「予告アラーム」は、予定時間終了に向けて心の準備が必要な人に嬉しい機能です。

ダウンロードサイト:絵カードタイマー

5.ソーシャルスキルトレーニングにアプリを取り入れるメリット

ソーシャルスキルトレーニングにアプリを取り入れるメリット

ソーシャルスキルトレーニングへのアプリ導入は、受講生にとってもさまざまなメリットがあります。受講生視点で、アプリを活用するメリットを3つ解説します。

5-1.自宅でも気軽に取り組める

アプリはデバイスがあれば、どこでもトレーニングできます。自宅でも取り組めるため、学習機会を増やしやすい点がメリットです。

放課後デイサービスなどの福祉施設や企業でのトレーニングと内容が連動したアプリを選べば、復習や反復学習にも利用できます。

5-2.一人でも取り組める

アプリは一人で取り組みが完結できるようにつくられています。

ロールプレイやディベートのように、一緒にトレーニングを受けるメンバーも必要ありません。いつでもどこでも、気軽に取り組める点もアプリならではのメリットです。

5-3.トレーニングメニューのバリエーションが広がる

同じ課題でも、アプリによってアプローチ方法はさまざまです。

アプリを乗り換えるだけで別のアプローチ方法を気軽に試せるため、一人ひとりに合ったトレーニングメニューを見つけやすいメリットもあります。

6.ソーシャルスキルトレーニングにアプリを取り入れる際の注意点3つ

ソーシャルスキルトレーニングにアプリを取り入れる際の注意点3つ

ソーシャルスキルトレーニングへのアプリ導入は利便性が高い反面、注意が必要なポイントもあります。アプリ導入前に知っておきたい注意点を3つ、解説します。

6-1.受講生のペースや主体性を尊重する

受講生のペースや主体性、理解度の尊重を大切にするソーシャルスキルトレーニングの基本は、アプリでも変わりません。

「受講生が興味を持っていないアプリに延々と取り組ませる」「結果を急ぐあまり性急な取り組みを強いる」などのアプローチをしてしまうと、ソーシャルスキルトレーニングの成果は得られません。

受講生の課題やトレーニングの成果をつぶさに把握し、「やりたい」と思って取り組めるアプリを選ぶようにしましょう。

6-2.慣れるまではサポートしながら進める

ソーシャルスキルトレーニングを必要とする人の中には、新奇なものに抵抗を感じるタイプもいます。また、アプリトレーニングで狙いどおりの効果を得るには、課題と目的に合致したやり方で取り組むことも欠かせません。

受講生が正しいやり方で進められるようになるまで、適宜サポートを行いましょう。

6-3.一つに絞るのではなくさまざまなアプリやツールを試してみる

どのようなタイプのアプリが適しているかは、受講生の課題や性格、ソーシャルスキルレベルによって異なります。「Aが合わなければBを」と使うツールをすぐに切り替えられる点が、アプリのメリットでもあります。

さまざまなアプリを試す手間を惜しまずに、最適な1つを見つける姿勢を保ちましょう。

7.ソーシャルスキルトレーニングのアプリ探しに便利なサイト

ソーシャルスキルトレーニングのアプリ探しに便利なサイト

ソーシャルスキルトレーニングに活用できるアプリは、紹介したほかにも数多くあります。

東京都障碍者IT地域支援センター」の公式ホームページでは、「コミュニケーション支援」「読み書き支援」「交通」などカテゴリに分けて、便利なアプリが紹介されています。

ソーシャルスキルトレーニング向けのアプリを探す際に、ご活用ください。

公式ホームページ:東京都障碍者IT地域支援センター

8.ソーシャルスキルトレーニングでのVRの利用も効果的

VR技術「Realize VR」活用した就労サポート

多くの人は、視覚と聴覚とをバランス良く使って情報を得ています。

しかしソーシャルスキルの課題を持つ人の中には、視覚と聴覚の使い方に偏りがある人も少なくありません。「視覚優位」「聴覚優位」と呼ばれる認知特性です。

8-1.視覚優位・聴覚優位へのソーシャルスキルトレーニング

「視覚優位」とは目からの情報収集が得意なタイプを、「聴覚優位」とは音声情報の収集が得意なタイプをそれぞれ指します。

視覚優位が強い人は音声情報による認知が苦手であり、反対に聴覚優位の人はビジュアル情報のみでの理解が苦手だという特徴があります。

視覚・聴覚のどちらが優位かは個性であるため、無理に矯正するのではなく、その人に合ったやり方で情報を与えることが大切です。

8-2.VRは視覚優位・聴覚優位の人への教材としてもおすすめ

視覚優位・聴覚優位どちらの人にもおすすめなのが、VR(Virtual Reality・仮想現実)技術活用したソーシャルスキルトレーニングです。

VRにはビジュアル(視覚)と音声(聴覚)との両方の情報がバランスよく含まれているため、どのようなタイプへのソーシャルスキルトレーニングにも向いています。

8-3.Realize VRの特徴

ソーシャルスキルトレーニングでVRを活用できる「Realize VR」は、日常生活で起こりうる150もの場面への対応が収録されています。

VRヘッドセットにより視界のすべてがVRとなるため、不要な情報が目に入らなくなる点もソーシャルスキルトレーニング向きの特徴です。

また指導者がいなくても一人で学べる点は、アプリに通じる利便性があります。

「専門的な指導者がいない」「一人ひとりにつきっきりにはなれない」などの悩みを持つ放課後デイサービスや企業にも、Realize VRがおすすめです。

9.アプリやVRは指導者・子ども双方にメリットあり

「他人の感情を理解する」「場面に応じた振る舞いをする」など、ソーシャルスキルトレーニングは人と人のやり取りでしか訓練できないと思われがちです。しかし記事で紹介してきたように、ソーシャルスキルの種類によってはICT(Information and Communication Technology・情報通信技術)との相性が良いトレーニングも数多くあります。

参加者の課題やトレーニングの目的を踏まえ、アプリやRealize VRなど効果が期待できるツールを積極的に取り入れてみましょう。

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