発達障害のグレーゾーン│向いている仕事と直面する課題、就職活動のコツ

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公開日:  カテゴリー: SST

「発達障害の診断があるわけではないが、なんとなく生きづらい」

「仕事に就いてもうまくいかず、すぐ辞めざるをえなくなってしまう」

そんなあなたは、発達障害グレーゾーンかもしれません。

発達障害グレーゾーンのなかには周囲からの理解が得られず、心ない言葉に傷つけられて仕事が長続きしない人がいます。

本当は発達障害が原因の特性も「努力不足」「やらないだけ」と自他ともに考えてしまい、解決策が見つからずに困っている人も多いのではないでしょうか。

本記事では発達障害グレーゾーンの特性と仕事で苦労しやすい原因を解説します。グレーゾーンの人に向いている仕事や就職・転職に当たっての注意点もまとめました。

自分の特性を正しく把握し、今よりもっと働きやすい職場に出会うヒントとして活用してみてください。

1.発達障害グレーゾーンの人の特徴

発達障害のグレーゾーンの特徴

発達障害グレーゾーンの人の特徴を紹介します。

発達障害や「グレーゾーン」は、近年広く認知されるようになりました。しかしまだ世間一般的には誤解も多いようです。

はじめに発達障害とグレーゾーンを正しく理解しましょう。その上で就労や職場適応などの現実的な困りごとの解決方法を提案します。

<以下参考サイト>

1-1.発達障害とは

発達障害とは

発達障害とは脳の神経発達に偏りがあり、日常生活や社会生活に困難を生じさせる、生まれつきの特性です。

多くは発達期(乳幼児~幼児期)に診断されますが、学齢期・思春期~成人以降に顕在化する人もいます。

このごろ「大人の発達障害」を耳にする機会が増えました。これは発達障害の認知が進み、大人になってから「もしかしたら自分も」と受診する人が増えたことが一因です。

発達障害は、精神疾患の国際的な診断基準であるDSM-5で「神経発達障害」と名づけられています。

神経発達の障害であり、成長にともなって治る症状ではありません。ただし生活上の工夫や周囲のサポートによって、生活上の困難を軽減させることはできます。

DSM-5および厚生労働省「e-ヘルスネット」では、発達障害の症状によって7つに分類されます。7種類の発達障害を簡単に解説します。

1-1-1.知的障害(知的能力障害)

知的障害とは、知的発達の遅れにより日常生活を送る上で困難を感じる状態です。IQ(知能指数)の値や社会生活への適応度を総合的にみて診断されます。

DSM-5では発達障害(神経発達障害)に知的障害を含めています。いずれも神経系の発達に起因する障害であるためです。

また知的障害の人は、発達障害の症状を併発するケースもよく見られます。

1-1-2.コミュニケーション障害

コミュニケーション障害とは、なんらかの原因によって対人関係やコミュニケーションに課題を生じさせる症状です。

  • ・「思っていることを言葉にできない」
  • ・「一般的なコミュニケーションができない」

などの例が見られます。

DSM-5では5つの疾患をコミュニケーション障害に分類し、診断基準を添えています。

一般的に使われる「コミュ障」と似た症例も含みますが、コミュ障のすべてがコミュニケーション障害と診断されるわけではありません。

1-1-3.自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症は、コミュニケーションや対人関係に特徴的な困難がある障害です。ただし症例は人によって多様で、限定的ではありません。

  • ・「こだわりが強い」
  • ・「同じ行動を繰り返す」

なども、自閉スペクトラム症の特徴です。

以前は自閉症・広汎性発達障害・アスペルガー症候群と別に分類されていた障害を、現代ではまとめて自閉スペクトラム症と呼んでいます。

1-1-4.ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDは不注意や多動・衝動性を特徴とします。

全体のペースにあわせた行動が苦手で、集団生活がはじまる就園・就学期に診断されるケースが多く見られます。

  • ・不注意:活動に集中できない、気が散りやすい、物をなくしやすい など
  • ・多動・衝動性:じっとしていられない、待つことが苦手、他人のじゃまをする など

本人の意識とは無関係に身体が動いてしまうのもADHDの特徴です。

1-1-5.学習障害(限局性学習症、LD)

学習障害は読み書きや計算に困難をきたす障害です。知的な遅れはありません。学習障害は症状によってつぎの3つに分けられます。

  • ・読字障害(読めない)
  • ・書字障害(書けない)
  • ・算数障害(計算できない)

「勉強ができない」との意識から自信を喪失し、うつ病をはじめとする二次障害を引き起こすケースもあります。

1-1-6.発達性協調運動障害

発達性協調運動障害は身体の協調運動に苦手が顕出する障害です。

知的な遅れはありませんが身体の各所を連動させ滑らかに動かすことが苦手で、いわゆる「不器用」といわれる状態です。

一つひとつの動作に時間がかかるため、日常生活で課題を感じやすく周囲から孤立するケースもあります。

1-1-7.チック症

チック症は本人の意志とは無関係に起きる、素早い動き・発声です。

まばたきや咳払いなどの運動チック、咳払いや鼻すすりなどの音声チックにわけられます。

症状が強弱を繰り返しながら1年以上続き、日常生活に支障をきたしている場合にチック症と診断されます。

1-2.発達障害の「グレーゾーン」とは

発達障害の「グレーゾーン」とは

発達障害固有の症状や傾向が認められるものの「障害として正式に診断されていない」状態を発達障害のグレーゾーンといいます。

診断基準を満たさないが限りなく発達障害に近い人から、うっすら傾向がみられる人まで幅広い状態を含みます。

また受診して診断されなかったケースも、未受診のケースもあるため、どこからどこまでがグレーゾーンという明確な定義がないのが現状です。

診断がないグレーゾーンの人は、社会でつぎの困難に直面すると考えられます。

  • ・障害者手帳・療育手帳の交付を受けられない
  • ・障害者枠での雇用に応募できない
  • ・公的な療育や支援が受けられない
  • ・他人に自身の発達障害傾向についてオープンにしにくい

診断がないと、社会適応ができないときに原因を発達障害に求められません。障害のせいではなく能力不足だと自他ともに考えやすく、周囲の理解を得られずに孤立してしまう人もいます。

1-3.発達障害のグレーゾーンは「薄い黒」と考える

信州大学医学部こころの発達医学教室教授・本田秀夫氏は、著書『子どもの発達障害』(SB新書)で「グレーゾーンとは、白ではなく薄い黒である」と提唱しています。

「グレーゾーンと聞くと白(健常発達)を基準とし、白に近い人に少し黒(障害)が混じった状態と考えがちだが、そうではない」との主旨です。

発達障害は生まれつきの脳機能障害によるため、いつか黒が薄まって白になることはありません。グレーの濃さが薄くなったとしても、その人の特性として存在し続けると、本田先生は言います。

発達障害グレーゾーンの人が無理に白にあわせようとすると、自分の特性を無視した行動を取らざるを得ず苦しさが軽減されません。

グレーであることを踏まえ、活かしたかかわりや考え方を工夫できないか考えるようにしましょう。

(参考:『子どもの発達障害 子育てで大切なこと、やってはいけないこと』本田秀夫(SB新書)  )

2.発達障害グレーゾーンは仕事ができない?職場で抱える4つの問題

発達障害グレーゾーンの人が仕事・職場で抱える課題と解決策

発達障害グレーゾーンの人は、仕事ができない悩みを抱えやすく、職場でさまざまな困難に直面します。4つの問題を取り上げます。

  1. 1.指示された内容を理解できない
  2. 2.仕事の段取りがうまくとれない
  3. 3.関心のある作業だけやる
  4. 4.不用意な言動により相手に不快感を与える

多くの職場は健常発達者の就労を前提としているためです。発達障害の傾向がある人は、その特性ゆえに適応しにくく、力を発揮できないケースがよくあります。

発達障害グレーゾーンの人が職場で感じやすい困難とその原因、解決策の案を解説します。

2-1.指示された内容を理解できない

発達障害グレーゾーンのなかには、長い指示や曖昧な指示を苦手とする人がいます。指示内容を的確に把握できず、何をすればよいかわからなくなる原因とデメリット、解決策を見てみましょう。

原因

  • ・置かれている状況や話の背景が想像できない
  • ・前後の文脈やその場の暗黙の前提を理解できない
  • ・注意が散漫になりやすく、話に集中し続けられない

デメリット

  • ・指示にしたがって業務を遂行できない
  • ・最適な塩梅で仕事ができない
  • ・「空気が読めない」「融通が利かない」と評価が下がる

◎解決策

  • ・指示は紙に書いてもらう
  • ・業務の完了を明確に伝えてもらう
  • ・業務内容を整理しマニュアル化する

2-2.仕事の段取りがうまくとれない

仕事の段取り、あるいは複数のタスクを同時に進めるのが苦手な人もいます。

状況に応じた臨機応変な段取りやマルチタスク(「電話をしながらメモをとる」など)が苦手になる原因とデメリット、解決策は以下のとおりです。

原因

  • ・ばらばらの情報を整理し、まとめる力がない
  • ・起こりうる事態を想像し、事前策を立てられない
  • ・ワーキングメモリ機能(作業記憶)が少ない

デメリット

  • ・進捗がないがしろになり、納期に間にあわない
  • ・イレギュラーが起きるとパニックになる
  • ・電話での聞き洩らしや情報の失念が増える

解決策

  • ・必要な作業をリストアップし、見える化する
  • ・タスクに優先順位をつけ、やり残しを防ぐ
  • ・電話で聞くべき情報をフォーマット化しておく

2-3.関心のある作業だけやる

発達障害グレーゾーンのなかには、関心がある作業や好きな仕事には周囲が驚くほどの集中力を見せるものの、興味がない仕事ややりたくない仕事は一瞥もしない人がいます。

その原因とデメリット、解決策を解説します。

原因

  • ・一つのことに強くこだわり過ぎる
  • ・集中すると気持ちの切り替えがうまくできない
  • ・感覚が鈍感で周囲からの刺激(働きかけ、声かけなど)に反応できない

デメリット

  • ・仕事に対する態度の波を注意され、自己肯定感が下がる
  • ・周囲から「さぼっている」「仕事を選り好みしている」と悪く言われる

解決策

  • ・特性をオープンにし、得意な作業に集中させてもらう
  • ・ジョブ型雇用を行っている職場に移る
  • ・苦手な仕事の遂行をサポートしてもらえるよう交渉する

2-4.不用意な言動により相手に不快感を与える

発達障害には「相手の気持ちを想像するのが苦手」という特性があります。

仕事には欠かせない配慮ができず、取引先や顧客に失礼な言動をとってしまう人がいます。原因とデメリット、解決策を見てみましょう。

原因

  • ・コミュニケーション能力の障害傾向が強い
  • ・人との適切な距離感がわからない
  • ・思ったことをすぐ口に出してしまう

デメリット

  • ・「失礼な人」「場違いな人」と評価が低くなる
  • ・取引先や顧客からの信頼を失墜させる
  • ・周囲からの信用がなくなる

解決策

  • ・よくあるやりとりは定型化し、滞りなくできるよう練習する
  • ・失敗したときはすぐに謝罪する
  • ・口に出す前に一呼吸置く癖をつける

3.発達障害グレーゾーンの人の就職・転職活動のポイント3つ

発達障害グレーゾーンの人の就職・転職活動のポイント

発達障害グレーゾーンの人が就職・転職活動で注意したいポイントを解説します。

  1. 1.自分の特性を把握する
  2. 2.応募する企業を詳しく知る
  3. 3.自分の特性を素直に伝える

発達障害の傾向があるグレーゾーンの人は、就職・転職活動の時点から特性を意識して進めるようにしましょう。

特性を無視した就職・転職は、グレーゾーンの人にとっても職場にとっても幸福な結果とはなりません。3つのポイントを具体的に解説します。

3-1.自分の特性を把握する

発達障害の診断がある人でも、特性はさまざまです。

ましてグレーゾーンとなれば、特性や困りごとの程度の幅が大きくなります。また応募先の企業担当者が、発達障害やグレーゾーンに理解がある人ばかりとは限りません

自分の特性を正しく把握し、客観的な言葉で伝えられる準備は、応募先に自分の特性を知ってもらうためにも大切な作業です。

特性の把握で押さえたいポイントは、つぎの2点です。

  • ・自分自身の特性傾向(ASD・ADHD・LDなど、発達障害のどの傾向が強いか)
  • ・自分の得意・不得意、強み・弱み

得意・不得意や強み・弱みは、面接でもよく聞かれる質問です。自己分析を通して言葉にしておくと、面接対策にも活かせます。

3-2.応募する企業を詳しく知る

発達障害やグレーゾーンに理解がある職場のほうが働きやすいのは、言うまでもありません。求人に応募する前に、企業の雰囲気や発達障害者に対する配慮の度合いを把握できないか調べてみましょう。

また自分の特性にあった働き方ができるかも確認しておきます。

特性にあう働き方の例

  • ・対面での人間関係に苦手意識が強い → リモート勤務は可能か
  • ・仕事の段取りを覚えるのが苦手 → 研修やサポートは充実しているか
  • ・特定の分野にこだわりがある → 配置希望は可能か

応募する企業に関して調べる方法には、以下があります。

  • ・企業のホームページやパンフレットを調べる
  • ・企業の人事部に直接問いあわせる
  • ・ハローワークをはじめとする就労支援機関に相談する

3-3.自分の特性を素直に伝える

応募する企業には、自分が発達障害グレーゾーンだと考えられると素直に伝えるのがおすすめです。

グレーゾーンであることを伝えないままの就労(クローズ就労)も可能です。しかし特性を伝えないまま仕事に就き、特性に起因する困難が出たら周りはどう感じるでしょうか。

「変わった人」「扱いにくい人」と見なされ仕事が円滑に進まなくなるおそれがあります。自分自身も職場に居づらくなり、また転職を繰り返すことにもなりかねません。

グレーゾーンであるとの自覚は応募時や面接時に伝え、踏まえての採用(オープン採用)を依頼しましょう。伝えた上で不採用だった場合は「縁がなかった」と考え、つぎに進むのが良案です。

特性の伝え方に困りそうなら「障害に関する自己紹介シート」を用意し提出します。

◎「障害に関する自己紹介シート」に書く内容

  • ・障害概要:医療機関にかかっている場合に、その内容
  • ・特性と自己対処:特性と、自分で工夫していること
  • ・配慮事項:企業に依頼したいサポート内容

関連記事:発達障害を持つ大学生向けの就労支援事例と自分でできる就職活動の準備

4.発達障害グレーゾーンの適職は?特性にあう仕事・職種

発達障害グレーゾーンの特性にあう仕事の例

グレーゾーンの適職を紹介します。発達障害のなかでも、困難を感じやすい症状はつぎの3つです。

  • ・自閉スペクトラム症(ASD)
  • ・注意欠如・多動症(ADHD)
  • ・学習障害(LD)

それぞれの特性と、特性を踏まえたおすすめの職種を紹介します。

4-1.自閉スペクトラム症(ASD)の人にあう仕事

自閉スペクトラム症(ASD)の傾向がある人は、人付きあいやコミュニケーションに苦手意識がある一方で、自分が興味を持てる作業には強い集中力を見せる点が特徴です。

の特性を踏まえると、チームではなく一人で黙々と進められる仕事が向いていると考えられます。

◎ 自閉スペクトラム症の人に向いている仕事の例

  • ・研究者
  • ・アナリスト
  • ・エンジニア
  • ・プログラマー
  • ・ライター
  • ・校正者・校閲者 など

4-2.注意欠如・多動症(ADHD)の人にあう仕事

注意欠如・多動症(ADHD)がある人は、腰を据えて一つのことを続ける必要がある仕事には向いていないでしょう。

目先がつぎつぎと変化し、刺激の多い仕事が向いています。さまざまな視点からのアプローチやアイディアが重視される仕事を検討してみてください。

◎ 注意欠如・多動症の人に向いている仕事の例

  • ・営業職
  • ・販売職
  • ・プランナー
  • ・マスコミ関連
  • ・ディレクター
  • ・カメラマン など

4-3.学習障害(LD)の人にあう仕事

学習障害(LD)の人は、文字や数字が苦手です。読み書きや計算より、感性やセンスが求められる仕事が向いています。ただ、完全に読み書き・計算が不要な仕事はありません。

読み書き・計算の重要度が低い仕事を選びつつ、必要な場面では「サポートを受ける」「ツールを利用する」など工夫すると仕事がうまく回ります。

◎ 学習障害の人に向いている仕事の例

  • ・アーティスト
  • ・俳優
  • ・アニメーター
  • ・広告業
  • ・デザイナー など

関連記事:【発達障害タイプ別】向いてる仕事と長く働くコツ、悩みの解決方法

5.発達障害グレーゾーンの人が利用できる相談機関

発達障害グレーゾーンの人が利用できる相談機関

障害者手帳や療育手帳を持たない発達障害グレーゾーンの人も利用できる相談機関を紹介します。

日常の困りごとから就労相談、具体的な支援などまで依頼できる機関もあります。積極的に利用し、困難の解消に一歩踏み出しましょう。

5-1.発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは発達障害者の自立と社会参加支援を行う機関です。

保健・医療、福祉、教育、労働など各方面と連携し、必要なサポートを提供します。利用にあたって障害者手帳の有無は問われません。

公式サイト:発達障害者支援センター

5-2.地域若者サポートステーション

地域若者サポートステーション(サポステ)は、15歳~49歳の就労と職場定着を支援する厚生労働省委託の支援機関です。就労に必要なスキルが習得できる機会を数多く提供しています。

サポステのサポート例

  • ・コミュニケーション講座
  • ・ジョブトレ(就業体験)
  • ・ビジネスマナー講座
  • ・就活セミナー
  • ・面接・履歴書指導 など

公式サイト:サポステ[地域若者サポートステーション]

5-3.就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は発達障害を含む障害者に、職業訓練と就職活動支援を提供する福祉サービスです。「障害者総合支援法」にもとづいて運営されており、利用料総額の1割負担で利用できます。

事業所は全国に約3,000か所、18歳以上65歳未満が対象です。

5-4.ハローワーク

ハローワークでは障害がある人の就労相談ができます。グレーゾーンの人は障害者枠への応募はできませんが、障害の特性を踏まえた相談や職場紹介は可能です。お近くのハローワーク窓口に、足を運んでみてください。

公式サイト:ハローワーク |厚生労働省

5-5.障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは厚生労働省が管轄する、障害者の就労を中心とした相談・支援機関です。日常生活に関するサポートや、関係各所との仲立ちもしてくれます。

障害や特性を踏まえた就職先あっせん、職場定着に向けた支援も行っています。

公式サイト:障害者就業・生活支援センターについて|厚生労働省

5-6.相談以外にSST(ソーシャルスキルトレーニング)の受講も

紹介した相談機関のなかにはSST(ソーシャルスキルトレーニング)を実施しているところもあります。SSTとは社会生活に必要なスキルや対人関係の構築方法を訓練する手法です。

ロールプレイやディスカッション、ゲームなどさまざまな方法を使い、その人が直面している困難の改善・解決を目指します。

詳しい内容は「ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?実施内容や効果、方法を解説」をご覧ください。

苦手を緩和する手法を手に入れられれば、いまよりもっと働きやすくなるでしょう。自分の課題にあったSSがあれば、積極的に利用してみてください。

関連記事:社会に出るための技能訓練!障害を持つ大人向けのソーシャルスキルトレーニング

6発達障害グレーゾーンの就労支援には「Realize VR」がおすすめ

発達障害グレーゾーンの就労支援には「Realize VR」がおすすめ

発達障害グレーゾーンは、公的な療育・支援は受けられません。しかし診断や手帳がなくても、就労にあたって困難があるのは事実です。

そこでテクノロジーの力で、発達障害グレーソーンの就労スキルを上げるアプローチを試してみてはいかがでしょうか。VR(Virtual Reality・仮想現実)を使った就労サポートを紹介します。

6-1.Realize VRとは

「Realize VR」は、VRで発達障害(グレーゾーン)の就労改善を支援するツールです。専用カメラには職場の「よくあるシーン」がVRで収録されており、まるで目前で本当にシーンが繰り広げられているかのような臨場感が特徴です。

シーンにあわせた対応の学習と実践の繰り返しで、コミュニケーションに対する抵抗感を減らし職場適応を進めます。

実践練習の相手がVRである点も、トレーニングを受ける人の心理的負担軽減につながります。「失敗したらどう思われるか」「上手にやらないと評価が下がる」との不安も不要です。

6-2.Realize VRによる就労支援の特徴

Realize VRには職場で「あるある」なシチュエーションを150以上収録しています。

Realize VRに含まれるシーンの例

  • ・職場の挨拶
  • ・電話応対
  • ・上司への相談
  • ・相づちの打ち方
  • ・休憩中の会話
  • ・ミスの報告
  • ・期日の相談 など

さらに面接対策も収録されており、就労前の対策にも利用できます。

さまざまな業界・職種で必要となる汎用的なスキルが身につく内容のため、どの業界の人にもおすすめです。使い方も簡単で、カメラを装着するだけで始められます。

まずはデモ体験でお試しください。

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7.まとめ

発達障害と診断されるためには、発達障害の診断基準を一定以上満たす必要があります。診断基準を満たしていない人は「グレーゾーン」に分類され、公的な支援を受けられずにいます。

しかし診断がないからといって、日常生活に困難がないわけではありません。公的な支援を受けられないからこそ、グレーゾーンの人は多くの社会的苦労に直面しています。

発達障害グレーゾーンの人が自分にあう仕事に就くためには、正しい自己分析と適した職場探しが大切です。また就職・転職活動を円滑に進めるため、就労後も周りとうまくやっていくために相応の準備も欠かせません。

自分を活かせる職場探しや就労スキルの向上には、Realize VRをはじめとするテクノロジー・ツールの積極利用もおすすめです。

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